なんか、スマホの充電で充電用のケーブルと
データ用のケーブルがお店で売っている件について

スマートフォン用品コーナーにあるケーブルには
どんな仕掛けがあるのか私、知りたいです!
<略>私、気になります!

というメールを頂戴したので、Blogのネタにしてみようかと。

なお、以下の話は自分が調べた結果ですが、間違いや勘違いがあるかもしれないので、
ケーブルの自作とかはせずに、しっかりとした対応製品を買って下さい。
※電源系はうっかりすると火事の元なので、そこまで責任は負えない。

まず、結論としては、お店で売っているUSB2.0の普通のデータケーブルはこう:

※5v:GNDから見て5Vの電圧(電池で言うところのプラス)
※D+/D-:データライン
※GND:アース(電池で言うところのマイナス)

で、充電用と書かれているのはこう:

といったケーブルです。

なので、ケーブルに充電用とデータ用の切り替えスイッチがあるものは、
このケーブルの切り替えスイッチです。

なお、このほか、一部の携帯音楽プレイヤーとかは、
全然違う特殊結線をしているけど、今回は割愛。

じゃあ、なんでこんな2つもケーブルがあるのか?
というか、充電用ケーブルなんて物があるのか?
というのが今回の話題。

定電圧源

その前に、電源の概論から。

普段、我々が使っている電池とか、ACアダプターは「定電圧源」と呼ばれる電源で、
その名の通り、一定の電圧の電気を出す装置。
※定電流源という装置も存在するけど、今回の話題とは関係ない。

で、定電圧源という電源は・・・
例えば、5Vの定電圧源に、10オームの抵抗を繋ぐと、5/10=0.5=500[mA]の電流を流す。

んで、この5Vの定電圧源に、5オームの抵抗を繋ぐと、5/5=1=1000[mA]の電流を流す。

このように、繋がっている装置の抵抗に合わせて、
電流を制御して一定の電圧を保とうとする電源装置が定電圧源だ。

でも、携帯などの装置の抵抗を際限なく小さくすると、
電源装置は大量の電流を流そうとして壊れてしまう。

つまり、電源装置につなげる負荷装置は、
電源装置の許容範囲内でつなげる必要があり、
無理に大量の電気を要求する(=抵抗の少ない)装置をつなげると、
電源装置側が壊れてしまうわけだ。

本題

で、ここからが本題。

USB2.0の電源規格は5[V]で最大500[mA]迄流せるという規格なんだけど、
これって、たったの2.5[W]なんだよね。

手元の携帯電話のバッテリー容量は6[Wh]なので、
このままだと、充電に2時間ちょいかかるわけだ。

でも、急速充電したいからといって、携帯電話が大電流を流そうとしたら、
PCのUSB端子側の電源が壊れる可能性がある。

そこで、大きな電流を受け取って良いかを
携帯電話側が判断できるようにした規格がいくつかあるわけ。

そのうちの一つが、
携帯電話から見て、データラインの2つの線が短絡している場合に
1000[mA]の電流が取り出せる電源に繋がっていると
携帯電話に判断させるという規格があるわけだ。

で、既存のPCとかのUSB端子で1000[mA]の電流が流せる場合には
充電用のUSBケーブルで携帯電話とかを繋げば、
急速充電ができ、自分の携帯電話だと2時間ちょいかかる充電時間が、1時間ちょいになるわけだ。

また、大電流が取り出せる電源に繋がっていると判断できなければ、
充電をそもそもしないという携帯電話の機種もあったりするので、
こういう場合にも、充電用のUSBケーブルが必要になるわけ。

余談

ちなみに、このほかにも、色々と、オレオレ規格はある。
例えば、データラインに一定の抵抗が入っている場合とかね。

また、電源と、携帯の間で通信を行い、電源がどの程度の能力があるかを、
携帯電話側が正確に知るための規格も近年制定された。

でも、タブン、今回の規格が、現状のデファクトスタンダードなんじゃないかと。

また、わざわざこんな風に、電源側が対応しなくても、
携帯電話側で、少しずつ負荷を上げて(=抵抗を減らして)、
500mAを超えたところで電圧が低下してきたら、
大容量の電流が流せないと見なすなどの実装もあり、
正直いろんな規格が入り乱れている状態なので、
結局は対応機種を確認して使いましょうって話だったりもします。

と言うわけで、ざっと、USBの充電ケーブルの存在意義の説明でした。

なお!説明文中、便宜的に「携帯電話」と書いていますが、
携帯音楽プレイヤーとか、この手のUSBで充電できる機器全般の話と捉えて下さい。

P.S.
質問くれた方、こんど、ゼヒ、アイスクリームを奢って下さい。
氷菓ではなく、ちゃんと脂肪分のあるものでお願いします。