もうすぐクリスマスシーズンですね。
子供向けのクリスマスの定番のプレゼントとして、電子ピアノとかキーボードといった物があります。
でも、キーボードと電子ピアノがどう違うのか?よく分かってない人も多いはず。

まぁ、キーボードは、音色数も多いし、練習機能は鍵盤が光ったりして豊富だし、高機能に見えるのに、電子ピアノの方が圧倒的に高いです。
そのため、何故、電子ピアノというものが存在するか謎という人も居るはず。

その辺を解説してみたいと思います。
※結構長文

さて、この両者、結論から言いますと、全く異なる楽器です。
そのため、電子ピアノに慣れている人は、キーボードは弾きづらいですし、逆もまた然りです。

では何が違うのかというと、両者の最大の違いはキータッチです。

電子ピアノは鍵盤の押し心地をできる限りピアノに近づけています。
一方の、キーボードは鍵盤は結構簡単な作りです。

ここに、とあるキーボードを分解した写真があります。

このように、鍵盤を押した後に元に戻すには、バネを使用するというシンプルな構造です。

しかし、実際のピアノは鍵盤を元の位置に戻すのは、バネなど使いません。鍵盤の構造上存在する、おもりに頼っています。
そのため、鍵盤をある程度の力で途中まで押して手を離すと、おもりの慣性で、少し沈んでから、鍵盤は元に戻ります。
また、実際のピアノは、詳しい説明は省きますが、鍵盤を押すと、ハンマーというピアノを構成する重要な部品の影響で、独特のクリック感があります。

電子ピアノではこれらを再現するために、本物のピアノ同様に、ハンマーなどの部品を使っています。

適当な写真が手元にないので、サウンドハウスさんの解説ページをリンクで貼っておきますが、見ていただければ分かるように、かなり複雑な構造をしているのが電子ピアノです。
http://www.soundhouse.co.jp/howto/keyboard/keytouch/

また、ピアノは、低音と高音でも鍵盤のタッチは異なりますので、そのあたりも、電子ピアノは再現しています。

これらのキータッチを総称して「ハンマーアクション」と呼びます。

ハンマーアクションはピアノをひく上で重要な鍵盤のさわり心地で、
このクリック感の有無などで「鍵盤をちゃんと押した」と体が理解して次の操作に反射的に繋がったり、
鍵盤の慣性があることで、上手く演奏の強弱が付けるのがピアノの演奏です。
そのため、ハンマーアクションがないキーボードだと、ピアノに慣れた人は上手く演奏が出来ないことがあります。
また、キーボードに慣れている人だと、この余計な動作が邪魔です。

このように、キーボードと電子ピアノは、「ハンマーアクション」の有無という点で、全く違う楽器です。

それを踏まえた上でキーボードと電子ピアノのどちらを買うかを検討した方が良いです。

その他、キーボードと電子ピアノでの選択のポイントを以下にまとめました。

■キーボード
多機能。多音色。
よく言えばキータッチが軽いので、長時間使ってても疲れにくい。
悪く言えばキータッチはピアノとは別物なので、ピアノの初期の練習で使えても、ピアノの練習用に長期は使えない。

遊びや、オルガンや、電子オルガン(エレクトーン)軽音でのキーボードを使うことを目指すならば、こちらが選択肢。

ただ、キーボードは千差万別で様々な機能があるので、カタログを見て、欲しい機能を持ったキーボードを探すのが良い。

その中でも、どのキーボードでも共通して気にするべき事象が3つ。

・鍵盤の数
ピアノは88個の鍵盤があります。つまり、88鍵あれば弾けない曲はまずありません。
ですが、おもちゃのキーボードだと37鍵とか49鍵です。
49鍵あれば、初心者向けの曲は大抵弾けますが希に弾けない曲があるので、出来れば61鍵以上を目指すことをお勧めします。
ちなみに「気球に乗ってどこまでも」は最低でも61鍵は必要です。
※前奏の1音目で既に、49鍵で足りない。

・鍵盤の幅
ピアノと同じ幅の標準鍵と、省スペースのミニ鍵盤、子供のおもちゃの、ミニミニ鍵盤とがあります。

写真の上は、標準鍵、下はミニ鍵盤です。

子供だと手が届かないのでミニ鍵盤などにしたいところですが、最終的に標準鍵盤を使うならば、鍵盤の幅の感覚を身につけるために、標準鍵盤にした方が良いでしょう。

・ベロシティーの有無とその使い心地。
ベロシティーとは、鍵盤を叩く強さで音の大きさを変える機構。
ピアノのように強く叩いたら大きな音が出るといったもの。
あるに越したことはないのだが、かなり強くぶったたかないと大きな音が出ないという、微妙な調整がされている機種もあるので、その辺、実機を触って検討するのが良い。

ちなみに、似たような物でアフタータッチという機構も値段をそれなりに出せば付いてくる。
これは電子ピアノにはない機構で、鍵盤を押し切った後に、さらに押す力を加えると音に変化を出す機構。
バイオリンなどで、音を伸ばすときに、最初は小さく、途中から音を大きくしたり、ビブラートをかけたりするための機能。
いろんな音色を使いこなす、キーボードならではの機能ですね。

■電子ピアノ
値段は張りますし、場所もとりますし、重いので使わないときに片付けておくことも出来(安い機種だと12KG程度なのでなんとかなるかも?)ず、
キーボードみたいな機能に華やかさはないですが、ピアノの練習をするならば、電子ピアノにするべきですね。

一応、2~3万でピアノに近い鍵盤の重さのキーボードもあるにはあります。(YAMAHAのNP-11やNP-31)
また、電子ピアノも2万円台で無きにしも非ずです。(KORGのSP-170S)

ですが、やはり、ちゃんとした電子ピアノと比べると、さわり心地の差は大きいです。

4~5万で電子ピアノのエントリーモデルが買えるので、その辺りはお財布との相談です。
1世代前のハイエンド機が展示処等で5~6万で投げ売りされていることもあります。
※2014/11/26現在。CASIOのPX-850が各地で投げ売りされている。

また、電子ピアノを謳っている機種は、鍵盤の数は88鍵で、幅も標準鍵盤一択なので、以下の2つが検討材料になると思います。

・さわり心地
値段が高くなれば高くなるほど、本物のピアノに近づきます。

・ペダル
ピアノには基本的に3つのペダルがあります。
安い電子ピアノは、このうち、ダンパーペダルだけが標準で付いてきて、その他のペダルはオプションとなることがあるので、そこまで使いこなすかどうかを自分の腕と相談するのが良いでしょう。

あ、そうそう、電子ピアノで重要なことが1つ。
前述のように、電子ピアノはハンマーアクションを再現しています。
そのため、ヘッドホンなどを付けていても、ハンマーが動作する、ドカドカといった音がします。
その振動が別の部屋に伝わることがあるので、特に集合住宅だとその点は注意して、あえてキーボードを選ばざるを得ない場合もあることを、心にとめておく必要があります。

以上をふまえて、良いクリスマスプレゼントが選べると良いですね。