過去シーズンの季節性インフルエンザの「感染者数」と、新型コロナウイルスの「感染者数」を比較して、インフルエンザよりも怖くないという発言を耳にした。
そもそも、手洗いなどをしっかりしている新型コロナと、過去シーズンの季節性インフルエンザを比較すること自体がナンセンスと感じたため、自分が正しく理解するために、季節性インフルエンザと新型コロナの違いを比較してみた。
死亡率
まず、よく目にするのは人口に対する死亡率になっている。
でも、この数字の場合「十分感染対策した場合」と「してない場合」では、全く数字が変わってしまう。
そこで、感染してしまった場合の死亡率を計算してみた。
季節性インフルエンザの場合、2018/2019年シーズン(※1)で計算すると、
感染者が約1200万人に対して死者数が約3400人。
死亡率は0.0283%。
つまり、感染者1万人あたり2.8人が亡くなっている。
一方、新型コロナについては、2021/1/15 0時時点(※2)で、
感染者が307,159人に対して死者数が4314人。
死亡率は1.404%。
つまり、感染者1万人あたり、140人が亡くなっている。
もう少し実感がわく言い方をすると、100人感染すると1名亡くなる。
実際には、季節性インフルエンザは「感染しても無症状」のひとは、そもそも病院に行かないので、感染者にカウントされてない。一方で、新型コロナについては濃厚接触者も検査していて、無症状者も感染者にカウントされている。この違いにより、無症状者についても同じ条件にする場合、季節性インフルエンザの方の死亡率はもっと下がるはずではある。
感染力
インフルエンザが2018/2019年シーズンに1200万人感染したからといって
各自の衛生意識の違いが有るので何ら参考にならない。
というわけで、こちらは、同じ条件となる2020/2021シーズンで比較する必要がある。
季節性インフルエンザについては 8月31日から1月10日までの19週間分 (※3) で、
患者数が664名。
一方の、新型コロナウイルスは同じ期間で、PCR検査の結果、陽性になった人は
218,282名。 (※4)
ただ、インフルエンザは、症状が出た人が検査を受けているのに対して新型コロナは、無症状でも接触者が検査を受けていることを考慮する必要がある。
そこで、新型コロナウイルスで入院が必要な人数を、症状が出ている人と見なして比較してみる。こちらは、各日における人数しか発表されていないので簡単に比較はできないが2021/1/10次点では58,622名が入院を必要としている。 (※4)
まとめ
新型コロナウイルスは、素人が簡単に集められる情報で語ると、
- 新型コロナウイルスは、季節性インフルエンザの、数十倍~数百倍感染しやすい
- 同、感染した場合の死亡率も少なくとも50倍高い。
といえる。
参考文献
- (※1)厚生労働省のWebサイトより。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-iasrtpc/9227-477t.html
なお、2018シーズンを選んだのは、コロナの影響が無い最新の年度として選んだため。 - (※2)厚生労働省のWebサイトより。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html - (※3)nippon.comの記事より。
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00867/
一次ソースである厚労省の適切な資料を探せなかったため。二次ソースになっています。 - (※4)厚生労働省のWebサイトより。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html
こちらのオープンデータを集計。