エコカイロはエコじゃないんじゃね?疑惑で、ちょっと考察してみた。

エコカイロ

エコカイロの原理は前回の記事で述べたとおり。
つまり、エコカイロの中に潜熱という形で蓄熱して、
凝固を起こすことで凝固熱という形で取り出すわけだ。

つまり、事前に湯煎で熱エネルギーを与えておく必要がある。
取扱説明書には、沸騰したお湯で10分煮沸とある。

最初から沸騰している水は無いので、常温から暖めることになるんだけど、
300mlで20℃の水を100℃にするだけで24kcal。
既に、これだけのカロリーを無駄にしている。

計算するのが面倒なので、さらにロスを書き上げると、

  • 鍋の外に逃げる熱
  • お湯を沸かすときの水の気化で逃げる熱
  • エコカイロを湯煎で復活してから、一端常温に戻すならば、その分の熱

これらが、全部、エネルギーの無駄。

無駄が多いぞ!エコカイロ!

  • エコカイロの長所
    • すぐに暖まる。
    • 見た目が面白い。
  • エコカイロの短所
    • 温度調整が出来ない。
    • エコという割にエコじゃない。(エネルギーの無駄が多い)
    • 再利用の際に煮沸する必要があるので面倒。
    • 持続時間が1時間程度と短い。
    • 袋に液体が封入なので経年劣化で破ける心配がある。

充電池式カイロ

発電所で出てきた電気を、電池に充電し、
好きなときにヒーターに電気を流して発熱するという物だ。

日本における発電所の割合で一番多いのが火力発電所系。全体の6割。
でも、発電効率は50%ぐらいで、燃やした燃料の半分は熱で捨てている。
残りの4割は原子力(25%)や水力(9%)等だけど、
これの発電効率を考えるのが面倒なので100%としてみようか。

これだと、発電所全体の効率は70%ぐらい。
つまり発電で発生する3割のエネルギーは熱として捨てていることになる。

そこに、送電ロスもあれば、最終的に充電池に充電するときのロスもある。
つまり、自分の手元でエネルギーロスが目に見えないだけで、結構ロスがある。
それもそうか・・・熱エネルギーを、
使いやすい電気エネルギーに変えているんだから、
熱力学第二法則からも自明だわな。

  • 充電池式カイロの長所
    • 温度調整が出来る(という機種もある)。
    • 持続時間はそこそこ長い。
    • 途中で発熱を止めることが出来る。(※そういう意味では意外とエコ)
  • 充電池式カイロの短所
    • 暖まるのが遅い
    • 再利用の際に時間をかけて充電する必要があるので面倒。

プラチナ触媒カイロ(ハクキンカイロ)

Zippoオイルとかベンジンの燃焼熱がそのままカイロの熱源。
オイルの生産とか、輸送にロスはあれど、それは、他のカイロも同じで、
エコカイロならば煮沸のための水やガスの輸送コストとか、
電池式カイロならば、送電コストなどがかかっている。

で、プラチナ触媒カイロは、それ以外にはロスはない。

ちなみに、「燃焼」って書いたけど、もの凄く緩やかな燃焼なので、
「酸化」と言った方が良いかもしれない。
なので、用法用量を守っている限り、布団の中に入れても火事の危険性はない。
※使い捨てカイロも酸化。あれは鉄の酸化熱を利用している。

凄いぞ!ハクキンカイロ!

  • プラチナ触媒カイロの長所
    • 消費エネルギー的に超エコ。
    • 割とすぐ暖まる。
    • 他のカイロよりも暖かい。
      (※布でくるまないと火傷するほど熱い)
    • 持続時間は長い。(燃料の量で発熱時間が調整でき、満タンなら24時間持つ場合も。)
    • 途中で発熱を止めることが出来る。
      (※ちょっとやけどの危険があるけど出来なくはない)
    • 再利用は、オイルの充填なので短時間で準備可能。
  • ハクキンカイロの短所
    • 温度調整が出来ない。
    • 百均の燃料とかだとオイル臭い。
    • 触媒反応を始めるために、最初にライターなどの熱源が必要。
    • 数年に一度メンテナンスが必要(綿の入れ替えと触媒の交換)

ちなみに、世の中には桐灰カイロなる物もあって、
これは線香のように緩やかに燃やす木片をケースに入れて使う。
メリットは長時間持続して、水蒸気を出さないこと。
寒い日に星をカメラ撮影するときなど、レンズが曇らないようにするために使われる。
※使い捨てカイロや、プラチナ触媒カイロは水蒸気が出てくる。
※電池式だと、寒すぎて電池の出力が不安定になる。
※エコカイロは持続時間が短い。
要は、カイロは、時と場合によって適材適所で使うのが一番と言うことではある。