某、反原発団体のメルマガが話題になっている。
http://togetter.com/li/447007

まぁ、その団体自体は寄稿された記事を、無査読で掲載しているらしいのですが、
それにしても、酷すぎるだろうと。

以下、本記事作成にあたっての引用:

B、C、Dの線量計を分解してみて驚きました。
いずれもセンサーとおぼしきプレートの上に意味のないマジックの黒い線が引かれている
<略>
極小のドライバーで時計周りにいちばん右に動かし、
マジックの線をアルコールでふき取り、その上で測定しなおしたところ、
Aさんの線量計と同じ50パーセントほど高い数値になりました。
<略>
これとは別に、地元の中学校で使っている線量計は、
分解しても肝心の調整部分のところが接着剤で固定して調べられないように細工が施されていました。
<略>
メーカーが出荷にあたってなんらかの細工をするよう、
どこか上の方からの指示があってはじめて出来ることではないかと思います。

以上、引用終わり。

小学校や、中学校の理科をまじめに受けている人ならば、
計測機器に較正作業が存在する事は分かっているはず。

上皿天秤を使うときに、何も載せないで左右のネジを調整したり、
アナログ電流計や体重計のダイアルを回して0にしたりするあれね。

計測機器を扱う人間でも無くてもそれぐらいは常識だと思うのだが、
なんだ?この較正されているモノを、陰謀論にする記述は・・・

ちなみに、この手の計測機器だけでなく、たとえば、ビデオデッキとか
おおよそ、全ての機器は、最終的に半固定素子で調整できる様な回路にして、
出荷時に調整されて出荷される。

というのも、例えば抵抗素子は、普通に流通しているモノは10%程度の製品誤差がある。
普通は使わないけど、割と入手しやすい高精度な抵抗素子でも2%も誤差があるので、
最終的に調整できる様にするのは常識中の常識だ。

ましてや、計測機器ともなれば、較正はさらに重要になってきて、
さらに検定機器になってくると、部品の経年劣化も許されないので、
ちゃんとした施設での定期的な較正は不可欠。

もちろん、経年劣化などを考慮してない安物だと、
半固定素子を一度調整したら、接着剤で固定する荒技があるけど、
経年劣化で計測値が変わってくるのであまりオススメできる方法では無い。

さすがに、この記事の内容はバカ過ぎるので、
恐らく、無査読を良いことに、このメルマガの配信元を陥れるための、
高度な陰謀では無いかと思えるぐらいに酷い。

もし、そうじゃ無いとしたら、世の中の無知さかげんに恐怖すら覚えるね。

ちなみに、抵抗の誤差は10%と書いたけど、
大学時代に、抵抗計の較正をして、
誤差10%と誤差2%の抵抗それぞれ100本の抵抗値の測定をして、
その傾向をレポートせよという実験課題があったけど、
綺麗に正規分布になっていて驚いたね。
いや、懐かしい。