というわけで、改正著作権法の一部が施行されました。

「違法ダウンロード違法化」ばかりが前面に押し出されていますが、
自分は、
「権利者の意図として本来有償で提供されるべき著作権物が、
権利者の許諾も無くネット上に公開されて、ダウンロードする行為」
は、いけないことであると定義する点では、賛成します。

ただ、これを法律用語に置き換えるとき、曖昧な点などは無くすべきですが、
実際の法律は「どうしてこうなった」と言いたくなるようなザルだったりします。

そんな状態で刑罰を持つ違法行為として定めたものだから、
別件逮捕などに利用されるのでは無いかとか、
様々な問題が指摘されている状態なのは言うまでもありません。

しかも、成立までに「権利者」の意見は聞いていますが
「利用者」の意見は聞いておらず、著作権法の目的(第1条)に沿った
「文化の発展に寄与することを目的」とした立法とはちょっと思えない。

(前略)文化的所産の公正な利用に留意しつつ、
著作者等の権利の保護を図り、
もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

といった指摘も、ネットを探せば噴出しているのはご存じの通り。

ところで、自分として問題なのは「違法ダウンロード違法化」という、
言葉遊びみたいなバズワードの影に隠れた改定もかなり問題で、
複製防止機能を突破しての複製は今までも違法でしたが、
「視聴制御機能を除去」しての複製は違法となりました。

前にも書きましたが、
「DVDに埋め込んである、DVDプレイヤーでのみ視聴が出来るように制御するための信号(CSS)を消去し、
携帯電話や、携帯動画再生装置で視聴する行為」
も違法です。
つまり、DVDを買ってきて、iPod等に入れてみるのは違法行為となりました。
※CSSは、市販のDVDにはほとんどの場合入っている。

「DVDに埋め込んである、CSSを解除し、DVD-Rに複製した上で、
元のDVDを大切に保存して、複製側で視聴する行為」
等も違法です。

これが、ダウンロード違法化の影に隠れて居るのが、正直困る。

前者は、コピー回数無制限で、携帯動画再生端末にコピーできる権利を
付与してもらえるならば良いけど、現実問題としてそのような権利を提供している会社は無い。
一応、デジタルコピー権付きDVDというのもあるが、
コピー回数は制限されているので、少ない再生端末の容量で、気軽にデータを出し入れすることが出来ない。
何より、自分が使っている装置に対応したデジタルコピー権付きDVDは存在しない。

酷い話である。

その他、日本版フェアユースも今回の著作権法改定の目的の一つだったはずが、
こちらはこちらで、形骸化している。
※フェアユースがしっかり規定されない限り、
日本ではGoogleのようなロボットクロール型検索サイトは違法行為となる。

日本の立法には、ちゃんとした法律家は居ないのだろうか・・・

ちなみに、文中で「改正」ではなく「改定」とわざと書いています。

・改正は、物事の不都合な点を正しく改めた物
・改定は、良いか悪いかは別として、改めたという意味。
で、万人に「改正」となっているわけでは無い今回の法律は、改定と言わさせて貰います。

ちなみに^2、この言い回しは一部の鉄道会社で行っている言い回しです。
「ダイヤ改正」を使う会社なのか
「ダイヤ改定」を使う会社なのか、注目するのも面白いですよ。